バイトダンス成功秘話

バイトダンス成功秘話


By Datavase Insight Editors

【バイトダンス】

はじめに

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 皆さんは「バイトダンス」をご存知だろうか。「バイトダンス」とだけ言うと、ピンと来る人は多くないだろう。だが、バイトダンスはいま、最も注目されているベンチャー企業の一つである。Tiktokを筆頭に、月間アクティブユーザー数2.54億人(2018年9月現在)を誇る中国最大の総合情報サイト「今日頭条」、同6587万人の動画サイト「西瓜視頻」など、様々なヒットサービスを提供しているのが「バイトダンス」である。

バイトダンスの歴史

 バイトダンス(字節跳動)は2012年3月、北京市海淀区のハイテク企業が集積する中関村エリアにて設立された。「字節」は情報量を示す単位であるbyte、「跳動」はダンスを意味することから日本では「バイトダンス」と呼ばれる。  バイトダンスは、AIを最も早くからインターネットに持ち込んだ企業の一つ。看板サービスの「今日頭条」は2012年8月に登場した。  バイトダンスが台頭したのは2015年。4月には「2014中関村10大新鋭ブランド」に「今日頭条」が選出された。6月には経済界や金融界の専門家が共同選出した「2015中国で最も投資価値のある企業ベスト100」にバイトダンスが選ばれた。同年にはグローバル化戦略を開始し、「技術は海を出る(技術出海)」が核心戦略となっている。  2016年3月にはAI実験室を開設。AI関連領域の長期性と開放性について研究するとともに、会社の発展構想についても検討を行っている。そして9月、Tiktokがリリースされた。早くも2017年春節(旧正月)にはバイトダンスの主力サービスとなった。2018年8月、株式融資を実施し、企業価値は最高750万ドルに達した。  一方、2018年に入ると政府からの規制や監督の影響を強く受けるようになった。4月には国家市場監督管理総局が「第一回典型的虚偽違法広告案件」を20件発表したが、その中にバイトダンスが含まれていた。また、8月には北京市文化市場行政執法総隊が、バイトダンスに対して警告と罰則の行政処罰を行っている。  10月16日には「今日頭条」に掲載した「現代快報」4編の原稿を許可なく転載したことが問題となり、一審判決では賠償に伴う経済損失が10万元、関連費用が1.01万元発生すると報じられた。

バイトダンスのサービス

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Tiktok

 Tiktok(抖音)は比較的短いインスタント動画を気軽にアップロードできるSNSアプリとして2016年9月にリリースされ、2017年夏に全世界へのリリースを開始した。アプリではヒップホップやテクノポップなどバリエーションに富んだ音楽を選ぶことが可能で、自分の撮影した動画のBGMにすることができる。動画の速度を速くしたり遅くしたりすることもできる。さらに、動画に反復、フラッシュ、スローモーション、フィルターなどの特殊効果を加えることができる。Tiktokは若者が音楽やダンスを通じていわば「アガる」ことができることを宣伝し、世界各地でユーザーの獲得に成功した。  2018年10月現在、アクティブユーザーは5億人を超え、世界150カ国で使用されており、日本、タイ、インドネシア、ドイツ、ロシアなどでApple StoreまたはGoogle Playのダウンロードランキングで首位を獲得している。

今日頭条

 バイトダンスの代表的なサービスは総合情報サイトの「今日頭条」。社会・政治・国際・軍事といった硬派の記事から、娯楽・体育・文化といった軟派の記事まで、あらゆる記事を掲載している。なお、記事は全てマスコミ・ネットメディア・公的機関から提供されており、必ず提供元のクレジットが付いている。日本における「Yahoo!ニュース」をイメージするとわかりやすい。バイトダンス創設者・CEOの張一鳴によって2012年3月に立ち上げられ、8月に第1版がリリースされた。  2018年6月現在、累計アクティブユーザーは7億人を超えており、月間アクティブユーザーは2.63億人、月間平均滞在時間は20時間を超える。

西瓜視頻(スイカビデオ)

 バイトダンスが運営する動画サイトであり、直訳すると「スイカビデオ」となる。音楽、社会、農民、遊戯、美食、児童、体育など多彩なコンテンツを提供しているが、このサービスの特徴はAIによって表示される動画を変えていることである。動画がタイムライン上に表示され、新鮮かつ自分の好みに合った動画が表示される。表示される動画は毎回変わるが、数分前に見ていたタイムラインもおすすめ動画の下に再表示される。  2018年2月現在、累計ユーザーは3億人を超え、1日平均使用時間は70分超、1日あたりの視聴回数は40億回を超える。

バイトダンス買収先

 バイトダンスがここまで成功した理由の一つに、バイトダンスが様々なリーディングカンパニーを買収していったことが挙げられる。  2017年2月、バイトダンスはアメリカのインスタント動画投稿アプリ「Flipagram」を買収した。Flipagramはデジタル広告企業の職員だったJosh FeldmanとRaffi Baghoomが余暇を使って2013年に設計したアプリ。サービス開始当初は首席技術官であるBrian Dilleyを加えたわずか3人で運営していたが、有料アプリから無料アプリへの変更、アプリの簡素化、流行音楽の増加等によりアメリカのApple Storeでダウンロード数首位となったアプリである。  そして2017年11月には、インスタント動画投稿アプリ「Musical.ly」を10億ドルというバイトダンス史上最高額で買収した。Musical.lyは2014年に中国企業が開発したアプリで、現在のTiktokと類似した機能を兼ね備えていたことによりアメリカをはじめ全世界でヒットし、ユーザー数2.4億人、1日平均1500万のUGC(一般ユーザー制作コンテンツ数)を誇っていた。

バイトダンス調達先

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